「二回も聞けば信じただろ?」
「………え?」
「………」
「………」
「……お前、まだアイツとの事疑ってんじゃねぇだろうな?」
何も応えないあたしに再び威圧的な声が落ちてくる。
それを聞いても尚応えようとしないあたし。
別に十夜の気持ちを疑ってるんじゃない。
そうじゃなくて、ただ、遥香さんはどうなのかなって思っただけ。
あたしの脳裏にはあの時の遥香さんの表情が焼き付いて離れない。
十夜が何とも思ってなくても、遥香さんは十夜の事が好きかもしれない。
一緒に居られないあたしにとっては……何と言うか、それだけで嫉妬しちゃうと言うか……。
「……チッ」
突然舌打ちが聞こえ、何事かと思って顔を上げると、
「十夜……?」
何故か十夜がしかめっ面をしていた。
目が合った十夜は表情を変える事なくあたしからするりと腕を離し、ゆっくりと立ち上がる。
「と、十夜?」
恐る恐るもう一度呼び掛けてみると、階段の下へ視線を向けていた十夜がゆっくりと振り返った。
「……お前はアイツとどうなんだよ」
アイツ?
「ちょっ……!十夜!?」
十夜は意味不明な言葉を残し、あたしを放って先に階段を下りていく。
言われた言葉の意味が分からず、取り敢えずその場から立ち上がった。
「十夜!ちょっと待って!今のどういう意味!?」
追いかけながら必死に呼び止めるけど止まってくれる気配はない。


