さっきのキスより優しく感じるのは十夜の気持ちを知ったからだろうか。
よりリアルに感じるその唇に羞恥心が更に募っていく。
だけど、その羞恥心は愛しさへと徐々にカタチを変えていき、あたしの心を満たしていった。
唇が重なる度、愛しさが増し、手を握り締められるたび胸が締め付けられる。
周りに誰もいないこの場所で十夜とキスをしているなんて夢みたいだった。
夢ならどうか覚めないで欲しい。
ずっとずっと覚めないで欲しい。
……ん?夢?
「あ………もしかしてあの夢……?」
「あ?」
あたしの言葉にゆっくりと離れた十夜が怪訝な顔であたしを見下ろす。
──夢。
あの時の夢で、あたし、十夜とキスしてた。
それだけじゃない。
十夜に好きって言われて、あたしも……。
「………っ」
その時の事を思い出した途端、一気に顔が熱くなり、直ぐ様十夜から視線を逸らした。
も、しかして……。
「……思い出したのか?」
あれ、夢じゃなかったの?
「いや、あの、その……」
何か返事をしなければと必死に言葉を探すものの、こういう時に限って見つからない。
その間、あたしは十夜から逃げるように身を縮こませていて。
まさかその姿が肯定を意味しているなんてお馬鹿なあたしには知る由もなく。
呟いた言葉のピースが、今、当てはまった気がした。


