十夜の言葉に思わず目を見開いた。
……伝えたかっただけ?
「伝えてお前を繋ぎ止めておきたかった」
手のひらに触れたまま喋る十夜にくすぐったさと恥ずかしさが入り交じる。
「今、お前に伝えたところでいい返事が返って来るとは最初から思ってない」
……なら、なんで……?
「獅鷹との間にあった事は全面的にこっちが悪いと思ってる。謝って許して貰えるとは思っていない。けど、それでもしお前が楽になって戻ってくる可能性があるのなら、俺達はいくらでも謝る。煌達ともそう話がついた」
全面的に、鳳皇が悪いって……。
十夜に傷が残るぐらいの喧嘩をしてるのに、全面的に鳳皇が悪いの?
「けど、その前にやらなきゃいけない事があった。いや、ある」
「やらなきゃいけない事?」
「あぁ。それを済ませてからお前の元へ行くつもりだった」
「じゃあ……」
なんで今日此処に来たの?
「さっき言った事だ。お前を、繋ぎ止めておきたかった」
あたしの問いかけを察したのか、十夜はそう応えると握っていた手をするりと離し、再びあたしの頬に触れた。
「お前があそこに居る事は想定外だった」
「……っ」
“あそこ”
その言葉にあの時の光景が頭を過る。
「………ゃ…」
思い出したくなくて、その光景を必死に打ち消した。
「凛音、こっち向け」
俯いたあたしを見て、十夜が無理矢理顎を掴んで上を向かせる。


