──ずっと、好きだった。


叶わないと分かってからもずっと好きだった。


諦めなきゃいけないって分かってたけど、それでも諦められなかった。


そんな簡単に諦められる程小さな想いなんかじゃなかった。



“好き”


それは、貴兄にも優音にも言えなかった十夜への想い。


この想いを言えるのは、きっと同じ想いを抱える遊大にだけ。



「何かあったら俺に言え。いくらでも聞いてやる。だから……溜め込むな」


「……遊大……」


「心配すんな。貴兄と優音には言わない」



「な?」と言ってあたしの後頭部を優しくポンポンと撫でる様に叩いた遊大は、ゆっくりと身体を離してあたしを見下ろした。


ぶつかる視線。

少しだけ潤んだ遊大の瞳があたしの心を強くする。


哀しいのはあたしだけじゃない。遊大も同じなんだ。


そう思うだけで心を強く保てる気がした。


甘えてばかりは嫌だ。

あたしも遊大を助けたい。