「それが彼女の名前だよ」
「……そっか」
やっぱり遥香さんが“アオイさん”だった。
遥香さんが“アオイさん”
思ってた通りの答えだったのに、なんでこんなにも落胆しているのだろう。
それはきっと、遥香さんとアオイさんは同一人物ではないと思いたかったから。
遥香さんが十夜と“幼馴染み”で無ければ、───十夜と深い付き合いで無ければこんなにも悩んだりしなかった。
「……遊大、ごめんね」
「凛音……」
「あたしが鳳皇と関わってなかったら、遥香さんと上手くいってたかもしれないのにね」
そうだ。鳳皇との争いが無ければ上手くいってたかもしれないんだ。
少なくとも、今回の件が無ければ、獅鷹と鳳皇の間に溝があったとしても上手くいってたかもしれない。
遥香さんは鳳皇と直接関係がある訳ではないし、誰と付き合おうが遥香さんの勝手だから。
でも、ここまでチーム仲が拗れてしまった以上、そう簡単にはいかない。
もし、遥香さんと遊大が付き合ったとしたら、次は遥香さんが板挟みになるだろう。
獅鷹幹部である遊大と、鳳皇総長である幼馴染みとの板挟みに。
誰だって、大事な人達が争っている所なんて見たくはないはず。
そうなった時の気持ちはよく分かるから。


