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「──凛音」


ベッドに寝転がりながら考え事をしていると、コンコンとドアがノックされた。


「……入って」


それに返事しながら、気だるい身体を無理矢理起こす。


遊大、いつもはノックなんてしないのにね。



「……ワリィ、遅くなった」


「ううん、いいよ。ここ、座って」


遠慮がちに入ってくる遊大にベッドを軽く叩いて、隣へ座るよう促す。



「……」

「……」


ベッドに座ったものの、一向に口を開こうとしない遊大。


未だかつてあたし達の間にこんな気まずい空気が流れた事があっただろうか。


そう疑問に思う程、部屋中が緊迫した空気に包まれていた。



「……聞いた、よね」


話を切り出したのは、部屋に呼んだあたしから。


「……あぁ。聞いた」


普段の遊大とは異なるその声色に、少しずつ緊張感が増していく。


気持ちを落ち着かせようと、一度目を閉じて深呼吸した。


そして、再び口を開く。



「ごめんね、言わなくて」


静かな室内にポツリ、謝罪の言葉が響き渡る。


「……バーカ。仲が良いからって全部言う必要はねぇよ。その時の状況にもよるし」


「………」


「それに、今回の事は貴兄から口止めされてたんだろ?さっきそう聞いた」


「え?あ、うん……」


口止めというか何というか、暗黙の了解?みたいな感じだったんだけど……。