……そんな顔、しないで。
そんな傷付いたような顔しないで。
十夜は優しいから、きっとあたしが泣いた事を気にしてるんでしょう?
大丈夫。大丈夫だよ。
あたしは責めたりしない。
そんな気力、もう残ってないから。
例え遥香さんの身代わりだったとしても、あたしは皆から沢山の幸せを貰った。
だから、責めたりなんかしない。
十夜。
優しい十夜の為にあたしからスッパリ切ってあげる。
それがあたしから十夜にしてあげられる最後のことだから。
「……あたし達はもう“関係ない”」
「……っ、」
「バイバイ」
あたしの口から放たれたのは、決別の言葉。
もう十夜とは“関係ない”のだと。
そう言い聞かせるように冷めた口調で言い放った。
「行こう」
グッと唇を噛み締めて、優音の手を引いて踵を返す。
けど、それを十夜の手が阻止しようとした。
その光景はさっきと全く同じで。
だけど、一つだけ違うのは十夜の手を拒んだのはあたしではなく隣に居た優音だということ。
優音が止めていなければ完全に掴まれていた。
「離せ」
優音に向けられる鋭い眼光。
その双眸を見て思わず息を呑んだ。
さっきの十夜とは180度違うそのオーラにその場の空気が一瞬にして張り詰める。


