左手を頭上に置かれている優音の右手にそっと乗せ、ギュッと握りしめてから一緒に下ろす。
そして、一度手を離して繋ぎ直した。
優音は、傍(ここ)で見守ってて。
その想いを込めて、繋いだ手をそっと握り締めた。
大丈夫。頑張れる。
そう心の中で呟いて、手を繋いだままゆっくりと振り返る。
「──“ごめんな”の意味、分かったよ」
そう言うと、十夜の瞳が微かに揺れ動いた。
けど、意味が分かっていないみたいで眉を潜めている。
その表情に思わずフフッと笑みが零れた。
……そうだよね。分かる訳ないよね。
十夜はきっとあたしが何の事を言っているのか見当もつかないんだろう。
十夜にとったらあの時の事なんてどうでもいいこと。
十夜の中ではもう全て終わっていることなんだ。
そうなんだよね?十夜。
「あたしは、良かったよ」
身代わりでも。
例え身代わりだったとしてもあたしは皆と一緒に居られて良かった。
……ねぇ、十夜。
一瞬でも“あたし”を見てくれた事あった?
一瞬でも遥香さんを忘れた事あった?
そうであったと思いたい。
それだけでいいから。
それだけで身代わりでも良かったと思えるから。
だから『あった』って言ってよ。


