Ri.Night Ⅲ



「……遥香、ちゃん?」


遊大の足が止まる。


「遊大……!」


腕をグイッと引っ張るけど、遊大はぴくりとも動かなくて、数メートル先に居る遥香さんを凝視している。



……っなんで、

なんで遊大を呼ぶのっ?


遥香さん、なんで……っ!!




「遥香ちゃんと……お前、桐谷……?」


遊大の声にビクッと身体が震える。


遊大が、十夜に気付いた……。


ということは一緒に居る遥香さんとの関係も勘繰るはず。



……なんで。どうして?


どうして、遊大までこんな想いをしなきゃいけないの?


どうして……。




「凛音?」


頭上に落ちてきたその声に、二度目の震えが襲う。


「どういう事だ?」


「……な、にが?何もないよ?」


そう言って誤魔化すけれど、震える声は何かあったと言っているようなもの。


遊大はあたしと鳳皇の関係を知らないから、今はシラを切るしかない。


十夜との関係をバレる訳にはいかないから。


もしバレたら、遥香さんと遊大の関係が余計に──



「……なら、なんで泣いてる?」


「え?」


「何もないのになんで泣いてるんだよ」



……泣いて、る?


あたしが?


眉を寄せた遊大があたしの左頬をそっと親指でなぞる。



「ぁ……」


その濡れた感触で、今、初めて自分が泣いているという事に気が付いた。