Ri.Night Ⅲ



……なんで、遥香さんなの?


十夜と一緒に居るのが、なんで遊大の“好きな人”なの……?



「………っ、」



駄目だ!!

此処に居ちゃ駄目だ!


今すぐ此処から離れなきゃ!!


じゃないと遊大が二人と会ってしまう。


鳳皇の総長と鳳皇と関係のある遥香さんに。


そんな事になったら……。


そう思った途端、今の今まで動かなった足が動いた。



「凛音!!」


踵を返そうとした瞬間、視界に映った十夜の手。


その手は真っ直ぐあたしへ伸びてきて……。


「ぃやっ!!」


「………っ」


あたしに触れる事なく宙で止まった。



……無意識、だった。


無意識に身を捩り、その手から逃げていた。


触れて欲しくなかったんだ。

遥香さんに触れた手で触れて欲しくなかった。


その手で触れられるときっと何もかもぶちまけてしまう。



“なんで遥香さんが居るのに優しくしたの!?”


“なんであたしを身代わりにしたの!?”


そう言って、十夜を責めてしまう。

そんな事、言いたくない。


言ってしまえば最後、その返事を聞かなくてはいけなくなるから。


十夜の口から肯定の言葉を聞かなくてはいけなくなる。


そんなの無理だ。今のあたしじゃ受け止めきれない。


受けとめられないよ……。



「凛音!!」



だから、逃げる。


十夜の口から本当の事を聞きたくないから。

身代わりだったと、聞きたくないから。