視界に映るのは人の群れ。
エスカレーターからは一階全体が見渡せて、それはもう集まりすぎだろって言うぐらい人で溢れ返っていた。
繁華街のドラッグストアはいつも人が多い。
安いっていうのもあるんだろうけど、こんなに人が多いんじゃ落ち着いて買い物も出来ない。
まぁ、あたしは人が多くても全然平気なんだけど。
遊大と優音が居なきゃコスメコーナーで色々物色するのに。
……なんて一瞬思ったけど、そう思ったのはほんの一瞬だけで。
今はそんな気分じゃないからさっさと済ませて帰る事にした。
エスカレーターから降りて、足早に歩き出す。
えーっと、シャンプーコーナーは何処だろう?
このドラッグストア来た事がないから、何処に何があるのかさっぱり分からない。
仕方ないから一つ一つの棚に視線を這わせ、チェックしていく。
……あ。あった!
お目当ての商品を見つけ、小走りで駆け寄っていく。
えっと……いつものシャンプーは、っと。あった。これだ。
お気に入りのシャンプーを手に取り、その隣にあった同じメーカーのトリートメントも一つ手に取った。
あとはファンデーションっと。
そう心の中で呟きながら右へ振り向いた時だった。
「十夜ー。私髪の毛染めようかなって思うんだけどどう思う?」
──後方から、そんな女の子の聞こえてきた。


