「うーん。見ての通り──」


「優音優音!凛音って結構激しいパンツ履いてんだぜ?」


同様にぐるりと見回しながら肩を竦めて見せると、突然遊大の大声に遮られた。


その声に振り向くと、目の前にはさっき遊大から奪い取って隠した筈のパンツが。


「ちょ、遊大!!」


「ホラ、見てみろよ」と遊大が優音に向けて自慢げに広げて見せている。


「遊大返して!」


それを慌てて取り返そうと手を伸ばすけど、ひらりと身を翻して交わされた。



ちょ、ホント信じらんない!


人様のパンツを目の位置でぴらぴらと揺らしている遊大に必死になって手を伸ばすけど、それでもやっぱり奪い取れない。


「お前は小学生か」


あたしの代わりにパンツを奪い取ってくれた優音が遊大の頭をぺシンと叩いてパンツを手渡してくれる。


「それぐらいで興奮するな。家には黒のレースとかもっと凄いのがあるぞ」


「黒のレース!?」


うんうん。そう言えば黒のレースもあったよね……ってちょ、優音何言ってんの!?


呆れ顔でさらりとそう言った優音はガムテープを持って立ち上がった。



「さて、続きするか。早く帰んねぇと貴兄心配するし」


「優音!黒の他は!?」


「今日は貴兄早く帰って来るの?」


一人黒レースで盛り上がっている遊大は放っておこう。


「あー、多分今日は早いっぽい事言ってたから早く帰って来るんじゃね?」


「そっか……」


少し気まずそうに眉を寄せた優音に若干違和感を覚えたけど、敢えて何も突っ込まなかった。


「……ごめんね。優音も忙しいのに」


「なーに言ってんだよ。お前一人でやらせる訳ねーだろ?ほら、早く片付けて帰ろうぜ」


フッと頬を緩めた優音はあたしの頭にポンと手を乗せると、返事を聞く前に部屋から出ていった。