「ったく!頼んだのはそっちじゃなくてこっち!」


隣のクローゼットを指差し、握りしめているパンツを引ったくる。


憤慨しているあたしを見て、「分かりましたよーだ」と唇を尖らせながら隣のクローゼットの前へと移動する遊大。


定位置に腰を下ろしたのを確認すると、手に持っているパンツを元の引き出しに戻した。


どっちにしてもまた後で出さなきゃいけないんだけど、取り敢えず一旦戻しておく。


一応あたしも年頃の女の子だからさ。




「凛音、ガムテープ無くなったんだけど。そっちにあるか?」


ボーッとしていると、リビングで一人作業をしていた優音がぐるぐると肩を回しながら寝室に入ってきた。


「ガムテープ?ちょっと待って」


手に持っていた服をカーペットの上に置き、よつんばになって散乱している衣類や段ボールを捲っていく。


確かこの辺でさっき見かけた様な……。


あ、あった!


衣類の下に隠れているのを見つけ、「はい」と優音に差し出す。


「サンキュ。どうだ?こっちは片付いたか?」


それを受け取った優音は散らかった足元をキョロキョロと見回し、空いている所に腰を下ろした。