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コンビニを後にして向かったのは、獅鷹に一番近い公園。
誰かに見られない様に人気のない所へバイクを停め、エンジンを止める。
訪れた静寂は十夜とのお別れを意味していて。
そっと目を閉じ、名残惜しむ様に十夜の温もりから手を離した。
バイクから降りた十夜はヘルメットを取ると、それをミラーへと引っ掛けて両手をあたしに差し出してくる。
「………」
今まで幾度となく見てきたその光景。
否応無しに身体が反応して、十夜に向かって腕が伸びる。
前へとゆっくり倒れていく身体。
それを受け止める十夜の温もり。
別れを感じさせないその力強さに、心がどうしようもなく揺らいだ。
爪先が地面に触れ、預けていた重みが自分の元へと戻ってくる。
ゆっくりと離れていくその腕に少しだけ寂しさを感じながら、その温もりを忘れない様にと身体へ覚えせた。
馬鹿だよね。ホント。
いつまでも未練がましく想っている自分にほとほと呆れる。
それでも、結局はこれが最後だからと許してしまうのだから、ホント馬鹿だとしか言いようがない。
「……送ってくれて、ありがとう」
ヘルメットを取ってくれた十夜に俯いたままお礼を言う。
目は合わせない。
目を見てしまえば最後、その漆黒の瞳に捕らわれて離せなくなってしまうから。
視線も心も全部、その瞳に捕らわれて離せなくなってしまうから。


