「りっちゃん」
彼、方?
背後から聞こえたのは彼方の切なげな声。
その声にゆっくり振り返ると、彼方の表情は切なく歪んでいた。
「りっちゃん、俺は欠けたままじゃ嫌だからな」
真っ直ぐあたしを見据える彼方にキュッと口を結ぶ。
「揃わなきゃ、鳳皇じゃない」
「……っ」
瞳に宿る光は揺らぐ事なく、真っ直ぐあたしの瞳だけを捉えていて。
そして、それは彼方だけじゃなく、隣に居た壱さんも同じだった。
「凛音ちゃん、忘れないで。俺達が凛音ちゃんを好きなこと」
っ、壱さん……。
「それだけは絶対忘れないで」
そう言った壱さんは優しく、ただ優しく微笑んでいた。
一緒に居たあの頃の様な優しい瞳で。
「凛音」
陽………。
壱さんの隣で小さく微笑んでいる陽。
それはまるで、
“ほら、言っただろ?”
そう言っている様で、胸の奥がじんわりと熱くなった。
陽の言った言葉が脳裏に蘇る。
一つ一つを思い出して、問いかけた。
貴兄のこと黙っていたのに怒ってないの?
言わずに去っていったあたしを怒ってないの?
あたしは、皆に嫌われてないの?
その答えはさっきの二人の言葉でいいのだろうか。


