Ri.Night Ⅲ


「りっちゃん」


彼、方?


背後から聞こえたのは彼方の切なげな声。


その声にゆっくり振り返ると、彼方の表情は切なく歪んでいた。


「りっちゃん、俺は欠けたままじゃ嫌だからな」


真っ直ぐあたしを見据える彼方にキュッと口を結ぶ。


「揃わなきゃ、鳳皇じゃない」


「……っ」


瞳に宿る光は揺らぐ事なく、真っ直ぐあたしの瞳だけを捉えていて。


そして、それは彼方だけじゃなく、隣に居た壱さんも同じだった。



「凛音ちゃん、忘れないで。俺達が凛音ちゃんを好きなこと」



っ、壱さん……。



「それだけは絶対忘れないで」



そう言った壱さんは優しく、ただ優しく微笑んでいた。


一緒に居たあの頃の様な優しい瞳で。






「凛音」


陽………。


壱さんの隣で小さく微笑んでいる陽。


それはまるで、


“ほら、言っただろ?”


そう言っている様で、胸の奥がじんわりと熱くなった。



陽の言った言葉が脳裏に蘇る。


一つ一つを思い出して、問いかけた。



貴兄のこと黙っていたのに怒ってないの?


言わずに去っていったあたしを怒ってないの?


あたしは、皆に嫌われてないの?


その答えはさっきの二人の言葉でいいのだろうか。