「オイ、どうなってんだよコレ。アイツ誰なんだよ?っていうか陽が怪我してるって!」


「……取り敢えず今は行くしかない。煌、ナビに鷺ノ宮公園セットして」


「あぁ」


狼狽える彼方とは反対に、冷静な壱が張り詰めた表情で俺にそう指示をする。


それに短く応え、クーラーの吹き出し口真上にあるナビに手を伸ばした。


慣れた手付きで“鷺ノ宮公園”と入力していく。



「……出た。鷺ノ宮公園は此処から2キロ、S駅の裏だ」


「良かった、近くて。もう少し進んでいたら戻らなきゃいけないところだったよ」


タイミング良かった、と一息つく壱を視界に入れながら、さっきの男の事を思い出す。


アイツは誰だ?何故陽と一緒にいる?

何故、公園にいるんだ。


陽は獅鷹に行ったんじゃないのか?

それとも獅鷹には行かなかったのか?


分からない。陽に何があったのか想像もつかない。



「──オイ、煌。どう思う?何で陽は公園にいるんだ?獅鷹に行くって行ってたよな?」


彼方が俺に疑問を投げ掛ける。


「分からねぇ。けど陽は確かに獅鷹に行くと行っていた。……もしかしたら獅鷹が関わっているのかもしれない」



それに、さっきは動揺して考えられなかったが、今、冷静になって考えれば奴が陽を助ける為に電話をして来たんだと分かる。


という事は、奴は敵ではない……?



「……取り敢えず行ってみるしかねぇか。考えるのはその後だ」



そう、その後。

陽が無事かどうか確かめてから考える。




-煌 side end-