「陽、皆に言わずに来たんでしょ?」


何度も鳴る着信はきっとそういうことだと思う。


「……っ、言ってきたよ!」


「十夜達がいいって言ったの?」


「……っ、」


やっぱり。


陽は分かりやすい。思ってる事が全部顔に出る。


あたしの所へ行くって言ったのは本当だろうけど、了承は得てないんだろう。



あたしと陽は似てる。

だから分かるんだ。

あたしもきっとそうするだろうから。



「ふふっ」



そう言えば、前にもあったね、こんなこと。


女達に手紙で呼び出され、陽と二人で呼び出された場所へ行ったあの時、あたし達は十夜達の了承を得ずに電話を切った。


ついこの間の事なのに、もう何か月も前の事のように感じる。


「懐かしい……」


「………え?」


あたしの呟いた言葉に眉を寄せて首を傾げる陽。

そんな陽に小さく笑う。



あの日が鳳皇との決別の日だった。


今まであった事が少しずつ少しずつ溜まっていって。


そしてあの日、溢れ出した。


今思えば、あたし達がこうなるのは運命だったのかもしれない。



「陽……あたし達は友達じゃいられないんだよ」


誰からも許して貰えない。


貴兄からも十夜達からも。


だって、そうでしょう?


陽も同じ事を思ったから返事を聞かずに此処に来たんでしょ?


十夜達が反対すると思ったから。

あたしと関わるのを反対すると思ったから。