「……お前、一体何者だ?」
陽に向かってそう問いかける一人の男。
怯えながらも陽を睨み付ける男達にあたしは思わず肩を竦めた。
馬鹿な奴等だ。
そんな事を聞いてる暇があるんだったらさっさと逃げればいいのに。
勝ち目がないのに何で此処に居続けるんだろう。
……って、あぁ、そうか。
陽の正体を聞いて後日襲撃するって魂胆な訳ね。
ご苦労なこと。
「ハッ。お前等に教える気なんてねぇよ。 俺の名前はそんなに軽くねぇ」
陽は自分から正体をバラすような真似する訳ない。
チームに迷惑がかかるような事なんて絶対しない。
「………っ、」
それでもなかなか引こうとしない男達に最早溜め息しか出なかった。
早く逃げないと再び火がつくのが分からないのだろうか。
「まだやんのか?」
ホラ。言わんこっちゃない。
仕方ない。
これ以上喧嘩をしたら陽が怪我するかもしれないし、あたしが一芝居打つしかないか。
そう決めて陽の元へとゆっくり歩みを進めると、歩き出した事であたしの存在に気付いたのか、男達の視線があたしに向けられた。
それを知った上で、一歩、さらに一歩と男達に睨みを利かせながら近寄っていく。
早く行って。
アンタ達に用はない。
アンタ達は喧嘩を売る相手を間違えたの。
それが分からないの?
心の中でそう問いかけた時、陽が男達の視線を辿るようにゆっくりと後ろを振り返った。
もちろん、その視線の先にいるのはあたしで。
目が合った瞬間、陽の目が大きく見開かれた。


