『……え?』
けど、現実は想像とは全く違って。
広場に足を踏み入れた瞬間、我が目を疑った。
『あ、き……?』
無残な姿で転がっている不良達。
自分の想像とは全く異なったその光景に、それ以上近寄る事が出来ない。
「もう終わりかよ?」
前に一度だけ聞いた事があるその威圧的な声にゴクッと唾を飲み込む。
「テッメェ……」
「甘く見んじゃねぇよ。俺がお前等ごときに負ける訳ねぇだろ」
睨み付ける男達をあしらう様に首を回した陽が両手をポケットに突っ込んでそう言い放つ。
「まだやるんなら相手してやるよ」
「ヒィッ……!」
足を一歩踏み出す陽に、地を這う様に後退し、一か所に集まっていく男達。
怯えている男達を見て、伊達に鳳皇幹部を名乗ってないなと思った。
普段の陽を見ているから今まで深く考えた事はなかったけど、よく考えれば陽は出逢った時にはもう鳳皇の幹部だった。
N県トップの鳳皇。
そのチームで幹部になろうと思ったら並外れた強さが必要な訳で。
その幹部に引き摺り下ろされる事なく当然の様に居座り続けている陽は強くて当たり前なんだ。