人通りの多い駅周辺。

楽しそうに会話をしながら歩いている人達の間を猛スピードですり抜けて行く。


信号で立ち止まるのさえ待てなくて、危ないと分かっていながらも信号待ちをしている車の間を抜けて反対側の歩道へ渡った。



目の前に見えているのに、公園自体が大きくてなかなか辿り着かない。


入口がどこにあるのかも分からず、途中、立ち止まって通行人の人に聞いた。


入口は駅から見て反対側にあるらしい。


公園沿いを走っていると入口らしきモノが見えてきて、入口の両脇にポールが立っていた。


そのポールに書いてあったのは、“鷺ノ宮公園”。

どうやらこの公園の名前らしい。



その鷺ノ宮公園とやらに足を踏み入れて、奥に進んでいく。


道は左右に分かれていたが、あたしは何の躊躇いもなく右に選んだ。


殆どが勘。

だけど外れている気はしなかった。



細道を走り抜けて行くと、先に広場らしきものが見えて、ここから見る限り誰もいない。


けど、微かに音が聞こえる気がする。


それはよく知っている音で。


っ、陽……!!


頭に浮かんだ最悪の光景に身体が震えた。