考えろ。
自分だったら何処へ連れて行く?
何処なら邪魔されずに済む?
流石に車で連れて行ったって事はないだろう。
それなら……。
そう思った時、駅裏の歩道沿いにある駐輪場の中に見た事があるバイクを見つけた。
あのバイクは……。
間違いない。あれは陽のバイクだ。
あんなに綺麗な“鳳凰”が描かれているバイクなんて、そうそうある訳ない。
陽はまだこの街に居る!
アテのない状態で捜していてテンション下がりまくっていたけど、陽が此処に居るという確かな証拠を見つけた事で再びやる気に火がついた。
この周辺に陽が居る。
早く見つけなきゃ!!
再び走り出し、陽に繋がるものがないか注意深く周囲を観察する。
「陽!!」
何処!?
何処に居るの!?
焦る気持ちばかりが先走ってなかなか前に進まない。
苛立ちが募り始めてきた時、視界に“あるモノ”が映った。
あれは……公園?
そうだ。駅裏に公園があったんだ!
そう。
視界に映ったモノとは生い茂る木の事で。
あそこなら人目につきにくい。
まだ公園にいるとハッキリ分かった訳でもないのに、何故かあたしにはあそこに陽がいると確信を持った。
公園にいるという自分の勘を信じて力の限り走る。