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『やったー!透に勝ったー!』


プロレスゲームで透と一戦交え、自分の出番が終わった所でよっこらせと重い腰を持ち上げて、『ちょっとお花摘みに行ってくるー』と二人に手を振る。


「お前、古っ!!」

『はぁ?何処が古いのよ!上品って言ってくれる!?』

「え、上品?」


慎からのツッコミにムッと口を尖らせれば、返ってきたのは透からで。

苦笑しながら首を傾げているところがムカツク。


そんな二人プラス、苦笑している周りの皆を一睨みして「女心が分からない奴等だ!」と声を荒げながら部屋を後にした。











「ふぅ……」


「牧村もよくやるよなー」


ん?


無事お花を摘み終えてトイレから出ようとドアノブを回した時、ドアの隙間から聞こえてきた数人の話し声。


「あの金髪、ボコボコにされるかもな」


耳に飛び込んできたその会話に息を呑んだ。




──今、なんて言った?



“あの金髪?”


金髪と言えば陽を思い出すけど……。


まさか……そんな訳ないよね。


金髪なんてそこら辺にいるし。



『……陽』


だけど、頭の中でどれだけそう思っていても、嫌な予感は消えてくれなくて。


絶対違うという確証を得る為に、ドアノブをそっと右に回してドアの隙間から様子を窺った。


声が近いところをみると、どうやら直ぐ近くで話し込んでいるようだ。