貴兄は優しい笑みを浮かべたまま軽くあたしの頭に手を乗せると、


「危ない遊びはするなよ」


そう言って意地悪な笑みに切り替え、優音と慧くんを連れて倉庫から出て行った。






「凛音、行くぞー」


去って行った貴兄をいつまでも見つめていると、背後から慎に呼ばれて。


その呼び掛けに引かれるように踵を返す。


すると、慎が早く早くと急かす様に手招きしてくる。


「早く来いよ!俺、喉渇いたんだって!」


慎の隣には透もいて。

透はさっきと同様、少しだけ浮かない表情をしていた。


いや、浮かないと言うよりは後ろめたいという方がしっくりくるかもしれない。


そんな透に小さく笑みを零して、小走りで二人に駆け寄っていく。


『慎!透!何して遊ぶ!?』


「おま……!危ねぇだろうが!ってか苦しい!」


いきなり喚き出した慎に悪びれもなく笑うあたし。


そりゃ喚きたくもなるよね。


だってあたし、真正面から二人に飛び付いて、二人の首に腕を回してるんだから。


右腕には慎。左腕には透。


二人の真ん中で全体重をかけてぶら下がっているあたしはさぞかし重たいだろう。