「なぁ。何でアイツお前の名前知ってんの?」
『えっ!?』
「だって喧嘩しただけだろ?」
『いや、あれはその……あ、あぁ!そうそう!名前聞かれてつい答えちゃったんだよね!』
痛いとこ突いてこないでよ!
細かい所まで考えてないんだから!
「お前馬鹿だろ。バレたら後々ヤバくなるのは貴さんなんだからな!」
『はい、ごめんなさい……』
なんでやってもいない事で説教されなきゃいけないんだろう……。
……泣きたい。
「ったくこれからは気を付けろよ!」
『はーい』
これ以上聞く事はないのか、慎は「喉渇いた。部屋に行こーぜ」と階段下にある部屋を指差して歩き出した。
『……なぁ、慎』
グイッと腕を引いて引き止めると、「何?」と肩越しに振り返った慎。
『その人、何か言ってた?』
そう問いかけた声は自分でも分かるぐらい沈んでいて。
普通に接しなきゃと思っていてもやっぱり普段通りにはいかない。
「何?もしかして仕返しに来ると思ってビビってんの?
だーいじょうぶだって!此処にはお前の味方が沢山居るんだから!次来たら俺がやっつけてやるよ!」
い、いや、だからそういうんじゃなくて……。
親指をグッと立てながら一人盛り上がってる慎にガクッと項垂れる。
……はぁ。慎に聞いたのが間違いだったのかもしれない。


