Ri.Night Ⅲ


視線を落とし、呆然と立ち尽くすあたしに慎が更に陽の特徴を挙げていく。


「小柄でカジュアルな服装。髪型は分かんなかったけど後ろ姿を見た時にキャップの下から金髪が見えた」



小柄でカジュアルな服装。

キャップの下から見えた金髪。



──あぁ、間違いない。陽だ。


陽が此処に来たんだ。



でも、なんで?

何の為に此処に来たの?



「リン?」


『……っ、』



駄目だ。

慎にバレる訳にはいかない。

獅鷹の皆にバレる訳にはいかない。


貴兄があたしと鳳皇が関わっていた事を他のメンバーに言わないのは、その事をぶり返さない為。


貴兄が隠している事をあたしが曝す訳にはいかない。


その為には、バレない様に平然を装わなければ。




『──慎、この事は貴兄に言わないでくれる?』


「は?」


「何でだ?」と不思議そうに首を傾げる慎にそっと近付いて、『少し前、その人と喧嘩したから』と耳打ちする。



嘘八百もいいとこだけど、これ以上貴兄に負担をかける訳にはいかないから。



「喧嘩って、お前、喧嘩禁止令出てんだろ?ヤバいじゃん!」


『うん。だから黙っててよ』



お願い、と手を合わせて頭を下げる。


すると、慎は「しょうがねぇなー」と言って「貸し一つな」とあたしの額にデコピンした。



「けどさ、もしかしたら透がチクってるかもしんねぇよ?」


『うーん、かもね……』


それはあたしも思ってた。


多分、さっきの表情を見る限りでは貴兄に言ってる可能性の方が高い。


もし言ってたとしたら、確実に陽だとバレているだろう。


あたしでも陽って気付いたんだ。

貴兄が気付かない訳がない。


それでもきっと、透には“鳳皇”だとは言わないと思う。