「俺も、意味分かんねぇんだよ」
『何が?』
渋った顔で首を傾げる慎を見て、あたしも同様に首を傾げる。
「……さっきさ、来たんだ」
『来た?』
って誰が?
「知らない男が……“此処にリンっていう奴いますか?”って」
『……え?』
此処にリンっていう奴いますか?
「俺まさかそんな事聞かれるなんて思わなくてさ。
だってそうだろ!?“リン”は俺達獅鷹しか知らない。見た事もない奴にそんな事聞かれたら普通驚くだろ!」
同意を求める様にそう言われたけど、あたしは何も応えられなかった。
慎に言われた事があまりにも衝撃すぎて頭が上手く働かない。
けど、どうしても先が気になって、一言だけ問い掛けた。
『……その人って、どんな人?』
思い当たるのはあの五人しか居ない。
獅鷹以外で“リン”を知る人は、あの人達しか居ないから。
『リン?』
誰?誰が来たの?
考えれば考える程分からなくて。
脳内でグルグル回る思考に、まるで同調するかの様に心臓が激しく波打った。
痛みが感じられる程強く鳴り響くその音に平静を保てない。
「どんなって……、キャップ被ってたから顔はハッキリ見えなかったんだよな。確か背はこれぐらいで……」
そう言いながら右手を自分の目の位置に持っていく慎に、鳳皇の誰が来たのか分かってしまった。
慎の身長は170センチ半ば。
鳳皇の中で慎より目線が下なのは彼しかいない。
『なんで……』
──陽、しか。


