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「リン、久しぶり!」
『ちょ……!慎、苦しい!』
車から降りた途端、慎に飛び付く様に抱き付かれて。
支えきれずに後ろへとよろけた。
「オイ、落ち着け」
すれ違い様にベシッと慎の後頭部を叩いた優音が貴兄に続いて歩いていく。
ちょ、叩く前にコレ引き離してよ!
優音に助けを求めようと手を伸ばすけど、気付いてくれなくて。そのまま遠ざかって行ってしまう。
優音の薄情者ー!
『慎、遊ぶから取り敢えず離せ!』
力任せにグイッと押し返せば、慎はちぇっと舌打ちしながら離れた。
けど、まだ尻尾をフリフリと振っている様に見えるから、安易に待てを解除出来ない。
「慎、リン、先に遊んでて。俺、貴さんに用あるから」
用?
呆れた顔そう言った透があたしから慎へと視線を流した。
それはほんの一瞬のことで。
透は何を言う訳でもなく、ただ慎を見ただけ。
それでも、あたしには何故かその視線が“何か”を伝えているように思えてならなかった。
何かある。
あたしには言えない“何か”が。
貴兄に用があるって言ってたけど、その事が何か関係してるの?
あたしには関係ない事かもしれないけど、それでも気になるものは気になる。
一か八か、聞いてみようか。


