“あの子達”
真紀さんは理事長だから、校内であたし達が一緒に居る所を見た事があるんだろう。
真紀さん事だ。
詳しい事情は知らないだろうけど、見当はついているんだと思う。
鳳皇と仲が良かったこと。
あたしが獅鷹総長の妹だってこと。
それさえ知っていれば答えを導きだすのは簡単な事だから。
真紀さんは貴兄がどういう人間かよく知っている。
入学当初、真紀さんはあたしに貴兄達が獅鷹だとバレない様にデータは隠しておくと言っていたけど、よく考えればあたしのデータを見ても貴兄達が獅鷹だなんて分かる訳がない。
獅鷹総長は素性を隠しているんだから、“東條 貴音”という名前を見ても獅鷹総長には結びつかないだろうし。
それでもデータを隠したのは貴兄が真紀さんに頼んだから。
貴兄はぬかりない。
念には念を。
あたしのデータさえ隙を作らない。
真紀さんは貴兄がそういう人だと知っているからこそ、あたしにさっきの言葉を言ったんだろう。
真紀さんはきっと貴兄が無理矢理あたしと鳳皇を引き離したんだと思っている。
だから“悔いはないように”って言ったんだ。
そして、あたしの考えが変わった時の為に書類手続きをギリギリまでしないと言ってくれた。
真紀さん、ありがとう。
けどね、本当は違うの。
きっかけはもちろん貴兄にバレたからだけど、最終的に決めたのはあたし。
だから、後悔なんてない。ないんだ。
そうは言ったものの、あたしの頭の中にはさっき真紀さんが言った言葉が繰り返し繰り返し流れていて消えてくれなかった。
──学校にいる時の貴女は誰よりもいい笑顔だったわ
それは、あたしが彼等の事が大好きだった証。
今はもう見る事のない偽りない笑顔。


