そんな事を言ってらんねぇって言うのも分かる。


まさか陽が凛音に会いに行くなんて想像もつかなかったんだからな。


流石の十夜もこれにはどうしようもない。


予期せぬこの事態、十夜はどうする気なんだ?



まぁ、結局は総長である十夜に従うしかないんだけど。


十夜は考え無しに行動する奴じゃない。


きっとこの行動には何かしら意味がある筈だ。


俺達のトップはそんなに馬鹿じゃないからな。



「――オイ、十夜。もしかして俺等だけで行くのか?」


「――あぁ」



多分、馬鹿じゃない筈。



勇介達に一言二言言って車に乗り込もうとする十夜にくらりと目眩がして。


もう何度目か分からない溜め息を吐き出した。





一人考え込んでいる内に出発し始めた車内には、いつもの顔触れが揃っていて。


本当に陽を連れ戻しに行くだけなのか?


そう疑問に思わずにはいられなかった。




陽を連れ戻しに行って?それでどうする?


アイツが、凛音が、もし獅鷹の溜まり場に居たらどうする?


何も声かけずに去るのか?


それでいいのかよ。


十夜、お前は凛音を好きなんだろう?


手元に置いときたいんじゃねぇのかよ。



俺には十夜の考えがさっぱり分からない。


先日、“アイツ”が突然倉庫に現れてから、十夜は度々アイツの元へ行くようになった。


その理由も分からない。



十夜、お前は何を考えてる?




 - 煌 side end -