「煌、十夜と壱は?」
「あ?あぁ、壱は零の所だ。十夜は……」
多分、アイツの所。
最近留学から帰ってきた……。
「お。噂をすれば何とやら」
俺の心の声を遮ったのは、突然開いたドアの音。
その音にいち早く反応した彼方が俺からドアへと視線を移した。
俺も彼方につられてドアへと視線を向ける。
ドアの方を見ると、彼方の言葉通りタイミング良く戻ってきた壱が脱いだ靴をご丁寧に揃えているところだった。
「遅くなってごめん」
壱は苦笑混じりにそう言い、車の鍵をテーブルの上に静かに置くと彼方の隣へ腰掛けた。
「構わねーよ、十夜もまだ来てねぇし」
運転に疲れたのか、首を左右に曲げてポキポキと鳴らしている壱。
けど、それだけじゃ収まらないらしく、腕まで回し始めた。
よほど肩が凝ってるのだろう。
「……陽は?」
腕を大きく回しながらそう問いかけてくる壱に、「連絡がつかねぇ」と苛立ち混じりに答え、荒々しく前髪を掻き上げる。
テーブルの上にある煙草ケースから煙草を一本取り出し、口にくわえて火をつけた。
そして、ゆっくりと後ろへ倒れるとソファーへ深く身体を沈ませる。


