「腹一杯食った事だし、コレでもするか?」


唯一まともだった優音が何処かから持ってきたのは……。


「花火だ!!」



そう。大量の花火。


優音の両手には大きいナイロン袋がぶら下がっていて、その袋から少しだけ花火らしき物が見えていた。


それにあたしの花火センサーがビビッと作動し、後片付け中の手を止めて優音に飛び付く。


「花火!!何であるの!?」


「何でってそりゃお前買ってきたからだろ」


自分でも分かるぐらいのキラキラ光線が瞳から発動していて、至近距離から優音に向けて放たれる。


そのキラキラ光線に圧されたのか、顔をひきつらせながら一歩二歩と後ずさっていく優音。


そんな優音にお構い無しに近寄っていき、両手からナイロン袋を奪い取る。


結構量があるのか、思っていたよりも重たいナイロン袋に移動する気が一瞬で削がれてしまった。


仕方なくその場にしゃがみ込み、ナイロン袋の中をゴソゴソと探り出す。


「なぁんだ、打ち上げ花火ないじゃん」


お目当ての打ち上げ花火が見つからず、思わず肩を落として深い溜め息。


「アホか。庭で打ち上げとか出来る訳ねぇだろ」

「あ、そっか」


ごもっともな言葉が頭上から落ちてきて、頭頂部をコツンと軽く小突かれた。


優音は向かい合わせにしゃがむと袋の中から花火を取り出していく。