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「遊大!火起こせた?」
妃奈と楽しくお喋りをしながら準備を済ませ、切った材料をテラスに持っていく。
テラスにはみんな揃っていて、遊大を筆頭に必死になって火を起こしていた。
「もう少し!あと少ししたらつく!」
遊大はそう言いながら灰が飛んでっちゃうんじゃないかっていうぐらい高速でうちわを扇いでいる。
炭を覗き込んでるけど灰大丈夫なんだろうか。
……って、ちょっと待って。
確か……。
「嵐ちゃんの方が火起こすの上手くなかったっけ?」
うん。確か前にバーベキューした時、嵐ちゃん火起こすの上手だった。
嵐ちゃんの方が上手いんだったら嵐ちゃんがやった方が早いじゃん。遊大に任せてたらいつまで経っても焼けないし。
ビール片手にテラスの柵へ凭れている嵐ちゃんに目を向けると、視線に気付いた嵐ちゃんがビールを煽りながら振り向いた。
「今日はそういう気分じゃねぇんだよ」
じゃあどういう気分なんだよ。
一人だけビールをグビグビ飲んでる嵐ちゃんは見るからに面倒臭そうな雰囲気を放っていて、とてもじゃないけどツッコむ気にはなれない。
だってさ、嵐ちゃんの足元には既に空き缶が一つ転がっているんだよね。
という事はもうすぐ野獣嵐様が降臨する訳で。
となれば、あまり刺激しない方が賢明だ。
下手に突っつくととんでもない目に遭わされそうだし。
触らぬ神に祟りなしという事で、嵐ちゃんには近付かないでおこう。
そして妃奈も近付けないようにしよう。


