「ちょ……!お前も否定しなかっただろうが!」
「優音が“なまこ”って言うから“なまこ”だと思ったの!」
「いや、どっちもどっちだろ。ホラ、これが“なまこ”だ」
「って、あんのかよ!!」
優音の鋭い突っ込みを聞きながら、貴兄の持っているなまこを覗き込む。
「うっわー、グロテスク~」
「ゲッ!何だよこのゾウリムシみたいな物体は」
なまこを見て、一歩後ずさるあたしと優音。
こ、これはヤバイ。気持ち悪すぎる。
最早何の物体かさえ分からないなまこに嫌悪感しか抱かない。
「だからなまこだっつーの。ってか優音、今すっげーマイナーな例えしなかったか?」
「き、気のせいだよ!」
頬を染めながらいそいそと椅子に座る優音につられて、あたしもなめこ汁をテーブルに置いて座る。
「照れんな照れんな。優音は“なめこ”を“なまこ”だと思ってたんだもんな」
にへらっと笑ってなまこを冷蔵庫に入れに行く貴兄。
っていうか、あの宇宙外生命体らしき物体をどうするんだろう。
もしかして調理するの?
え、食べるの?誰が?
凛音ちゃんは遠慮するから!
絶対食べたくないし!
優音も同じ事を思っているのか、冷蔵庫に戻っていくなまこを見ながら物凄い嫌そうな顔をしている。
……だよね~。
神様、お願いします。
どうかあのまま冷蔵庫から出さないで下さい。
絶対に夜唸されるから。