「そう言えば凛音ちゃんの友達ってみんなカッコいい人ばっかりだよね」


「えー、そうー?あ、でもみんな顔だけはいいかな」


「え?顔だけ?」


「そう、顔だけ。あ、時人くんと慧くんは普通かも」


あたしの言っている意味が分からないのか、不思議そうな顔でコテンと首を傾げる妃奈。


分からないのも無理はない。


奴等の見た目からじゃきっとあの姿は想像もつかないだろうからね。



妃奈の言うカッコいい人達を頭に思い浮かべ、苦笑する。


トントントンと軽快な音を鳴らしながら階段を下りると、リビングから顔“だけ”いい人達の笑い声が聞こえてきた。



ほら、早速やってる。

お客様が来ているのにも関わらず、いつもの調子で馬鹿騒ぎする男共。


ガキだ。ホントガキだとしか言いようがない。



「妃奈、覚悟してね」

「へ?」


妃奈の左肩をポンポンと叩きながらそう言うと、妃奈がキョトンとした顔であたしを見た。



取り敢えず忠告はしとかなきゃね。


肩に手を置いたままうんうんと頷くと、左手で魔の巣窟への扉をゆっくりと開ける。


開けた瞬間、聞こえてきたのは遊大の雄叫び。


一枚の扉でこんなにも音量が違うものなのかと毎回開ける度に思う。


チラリと妃奈に視線を向ければ、妃奈はその音量に驚いたのか両手で耳を塞いでいた。


妃奈さん、こんなのはまだまだ序の口ですよ。

覚悟して下さいね。