「うっわ~!玄関も広かったけど凛音ちゃんの部屋も広い!っていうか家自体が大きい!」


部屋に入るなり両手を広げてくるくると回り出す妃奈。


突然回り始めた妃奈にプッと吹き出す。


「部屋が広いのはママのお陰だよー。女の子は物が多くなるからって広い部屋を作ってくれたの」


回っている妃奈を視界に入れたまま、大量の荷物をフローリングの上にドサッと荒々しく置く。


「この部屋って広さどれぐらいあるの?」


「広さ?えーっと……確か15、6帖かな?あれ?もうちょっとあったっけ?」


ぐるりと部屋を見回して、昔ママに聞いた言葉を思い出そうと首を捻るけど思い出せない。


「いいなぁ~広い部屋」


再びくるくると回り出した妃奈はそのまま窓へと移動。


妃奈が部屋を探索している間、あたしは元の姿に戻ろうと着ている服を脱いだ。


動きやすい服に着替え、熱が籠っているウィッグを外す。


ボサボサの髪の毛をトップで纏め、適当におだんごにして完成。


「妃奈、リビング行こ~」


いつも通りに戻ったあたしは、一度「んー!」と背伸びをした後、探索中の妃奈に声を掛けた。