『妃奈、ありがとう。哀しませてごめんね。……正直、妃奈の言った通り女達の言葉を聞いて、今、凄くツラいし哀しい。何で知りたくもない事を知らなきゃいけないのって思う。

けどね、あたしだけじゃないの。ツラいのはあたしだけじゃない。

あたしに裏切られたと思っている鳳皇の皆も、引き離した事に罪悪感を持っている貴兄と優音も、皆ツラい。あたしだけがツラいんじゃないの。

だから、どんなにツラくても哀しくてもあたしは耐えなきゃいけない』


「凛音ちゃん……」



抱き締められていた細い腕がするりと解かれて、俯いていた妃奈が顔を上げる。


「……凛音ちゃんは、強いね」


泣くのを必死で堪えながら無理矢理笑顔を作ろうとする妃奈に、ううん、と首を横に振る。



『強く、ないよ……』


全然、強くなんかない。


だって、あたしは一人じゃ何も出来ない。


こうやって、あたしの為に泣いてくれる妃奈がいるから、必死になって守ってくれる貴兄達がいるから心を保っていられる。笑顔でいられる。


皆が居なきゃあたしは今頃ドン底に堕ちてたよ。