『妃奈、ごめんね。本当にごめんっ!』


直ぐ様掛け下りて行って妃奈を抱き締める。


妃奈、嫌な想いさせてごめんね。


妃奈が嫌な想いをする必要なんてないのに……。


あたしと友達だっていうだけで妃奈に嫌な想いをさせてしまった。


最低だ。



「ううん。リンくんは悪くないよ。あたしは何も哀しい想いなんてしてない。哀しいのはあたしじゃなくてリンくんでしょ?」


『妃奈……』


ぎゅっと強く抱き締めてくれる妃奈に涙腺が緩む。


「一番哀しいのはリンく……凛音ちゃんでしょ?あの人達が言った言葉に傷ついたのは凛音ちゃんでしょっ!?」


『……っ、妃奈……』


「どうして凛音ちゃんだけツラい想いをしなきゃいけないの?何で知りたくもない事を聞かされなきゃいけないのっ!?」


妃奈……。


耳元で悔しそうに呟かれる言葉に何も返事出来なかった。


その言葉はさっき、あたしが心の中で思っていた事そのままだったから。


やっと気持ちが落ち着いてきたのに、それを一瞬でにして壊されてしまうなんて。



『妃奈……』


妃奈の言った言葉はあたしの心の声。

さらけ出してしまいたいあたしの心の声。


……けどね。


妃奈の言葉の中に一つだけ訂正しなきゃいけない事があるの。