『凛音』


『優……?』



視線を戻すと、優音があたしの肩に頭を乗せてきた。



『凛音、俺もごめんな。貴兄の言った通り、俺もアイツ等と関わって欲しくなくてこの姿にしたんだ』


『……うん。分かってるよ。……ごめんね。ありがとう』



申し訳なさそうに謝る優音に、あたしも同じ様に優音の頭に寄りかかる。



『これからは俺が護るから』


『何言ってんの。優音にはいつも護って貰ってるよ』


『まぁそうだけど……今まで以上に』


『今まで以上にって。うん、頼りにしてる』


『任せとけ』








鳳皇の話をしたのは、この日が最後だった。


あの日から鳳皇の話が話題になる事はなく、あれから鳳皇がどうなったのかも知らない。


知りたいけど知る術がなくて、頭の中は鳳皇の事で一杯だった。



目を瞑ると浮かぶ皆の顔。


最後のあの言葉が頭の中で何度も何度も繰り返されて離れてくれない。


あの日から二週間経った今でも、鳳皇の事を考えると胸が締め付けられる。



忘れたいのに忘れたくない。

忘れたくないのに忘れたい。



矛盾ばかりが膨らんでいって、もうどうすればいいのか分からなかった。