その日から、毎日電話をくれる様になった妃奈は、毎回『凛音ちゃん、いっぱいお話しようね』、『楽しみだね』って言ってくれて。

そのお陰でどんどん気持ちが晴れていった。



その時になって初めて貴兄が言った“お泊まり”の意味が分かった気がした。


貴兄は自分じゃあたしの話を聞いてあげれないと思ったから妃奈を誘ってくれたんだ。



貴兄も優音も鳳皇の事に関して罪悪感を感じてる。


鳳皇と離れた時、貴兄は泣きじゃくるあたしに『ごめんな』って何度も何度も謝ってくれた。


そんな貴兄をこれ以上哀しませない為にも、あたしは早く立ち直らなきゃいけない。


偽りのない笑顔で笑いかけてあげられるように。


貴兄の罪悪感を拭ってあげられるのはあたししかいないから。









「〇〇線~〇〇行き~まもなく発車します」


んー、待ち合わせの改札口は此処なんだけど……。


キョロキョロと周囲を見回すけど妃奈の姿は何処にもなくて、改札口という事もあって人が多い。

小柄な妃奈を探すのは結構困難だ。


確か妃奈はパン屋の近くに居るって言ってたような………って、ん?


パン屋を探していると、壁に不自然に右手をついている一人の男が目に入った。


その男の隣にはもう一人男が居て、その男はポケットに手を突っ込んで前屈みになりながら何か言っている。