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「ギリ、10時58分、到着……っと」


路側帯へ滑り込む様にバイクを停車させた優音は集合場所の駅ビルを見上げると、バイクから軽やかに降りた。


「ありがと~優音」


ビルに取り付けられている大時計で時間を確認し、急いでヘルメットを外す。



「ほら、早く行け」

「うん!ありがとね!」


バイクから降ろして貰い、ポンッとあたしの背中を押してくれた優音にヒラヒラと手を振りながら走り出す。


急がなきゃ!!



「リン!帰り迎えに来る!電話しろよ!」

「了解!!」


投げ掛けられた言葉にもう一度振り返って、軽く左手を上げた。




えぇーっと?

妃奈が出てくる改札口はどっちだっけ?


走るスピードを緩め、周囲をキョロキョロと見回して確認する。



〇〇線〇〇線……あ、あっちだ!


ちょうど真上にあった路線案内板で目的の路線を見つけ、その方向へと再び走り出す。



妃奈、もう着いたかな?

確か11時ジャストに電車が着くって言ってたよね?


わざわざあたしの為にここまで来てくれたのに、待ち合わせに遅れるなんてシャレになんないよ~。