哀しげに揺れる瞳を見て、何で二人が家に居るのかが分かった。


みんな優しいからあたしの事心配して来てくれたんだね……。


じゃなきゃ酔い潰れていた嵐ちゃんがこんな所に居る訳ないし。


床に大の字になって寝ている嵐ちゃんを見て、フフッと笑みが零れた。



『時人くん、ありがとう』


嵐ちゃんもありがとう。


自然と零れたあたしの笑みを優しい表情で見つめた時人くんは、何も言わずにただ穏やかに笑うだけ。


きっとあたしの考えてる事なんてお見通しなんだろうな。


何も聞かず、普段通りに接してくれる時人くんに感謝の気持ちで一杯になった。


ううん、普段通りに接してくれたのは時人くんだけじゃない。


起きてきた嵐ちゃんも普段通りで。


逆に『あれ?俺何でここに居んだ?』なんてとぼけていた。


ホント優しすぎるよ皆。




その日から、みんな毎日朝早くから家に遊びに来てくれるようになった。


まるであたしが一人で考え込まない様にするみたいに、誰かが傍に居てくれる。


一人だけ何も知らない遊大は皆が家に集まってるから遊びに来てるって感じだったけど、それでも嬉しかった。


あたしが笑っていられるのは皆のお陰。


一人になった時はやっぱり落ち込むけど、それでもその時間が比較的少ないから気持ちが全然楽だった。


一人だったらきっとまだ落ち込んでる。


それ程あたしの中で鳳皇は大きい存在だった。


けど、獅鷹の皆が居るから大丈夫。



「凛音ー!お前、財布忘れたらシャレになんねぇぞー!」


優しい皆が居るから大丈夫。


「忘れてた!嵐ちゃんありがとー!」


前に、進んで行ける。