それから、あたしは二人に鳳皇との事を全て話した。



喧嘩に巻き込まれて出逢った事。


bladeに目をつけられて鳳皇に護って貰った事。


鳳皇のファンにイジメられた事。


鳳皇と獅鷹が敵対していたと知った時の事。


それを知って鳳皇を抜けようとした事。


けど、抜けられなかった事。


中田のあたしに対しての執着。


bladeがイジメに関わっていた事。



全部、話した。



けど、どうしても十夜を好きだという事だけは言えなかった。


ううん、言っちゃいけないと思った。



あたしが十夜の事を好きだと知ったら、貴兄はきっと自分を責めるだろうから。


だから、この想いは絶対に言っちゃいけないと思った。





『凛音、アイツ等に“獅鷹と敵対している”理由を聞いたのか?』


今まであたしの話を黙って聞いていた貴兄が、何故かそんな事を聞いてきた。



『ううん、聞いてない』


そんな事聞けないよ。


獅鷹の事を知らない事になっているのに、そんな深い理由を聞いたら怪しまれてしまう。



『そうか……』


あたしの返事を聞いた貴兄は、安心したように溜め息をついて目を逸らした。


『何があったの?』


そう聞き返したけど、


『凛音、お前はこれから鳳皇と関わるつもりはないんだろ?』



念を押すようにそう聞いてきた貴兄に『うん』としか言えなくて。


『じゃあ知らない方がいい』


貴兄はそれだけ言うとソファーから立ち上がってキッチンへと行ってしまった。


どうやら“理由”を言う気はないようだ。