陽の悲痛の叫びを背に受けながら、公園を後にしたあたし達。



公園を出るまで何度も何度もあたしを呼ぶ陽をあたしは一度も振り返らなかった。


ううん。振り返られなかった。


振り返ったらもう歩けない気がしたから。








いつの間に連絡をしていたんだろう。


公園を出て直ぐの所に見覚えのある高級車が停車されていて、運転席には慧くんが乗っていた。



「凛音、乗れ」



後部席のドアを開けてあたしの肩を軽く押す優音。


力の入らない足を無理矢理動かし、身を屈めて車内へと乗り込む。


座席に荒々しく身体を沈めると、両サイドに乗り込んだ二人。


バタンとドアが閉まったのを合図に車が発進する。




運転手の慧くんは何も聞かず、ただ真っ直ぐ前を向いて運転していた。


滅多に運転しない慧くんが迎えに来てくれたという事は彼なりに気を使ってくれたのだろう。




「凛音、来い」


「……え?」



突然あたしに向かって小さく両手を広げた貴兄。