「ごめんね、陽」



震える唇から出たのは、別れの言葉。


一歩足を踏み出し、陽に向かって両手を広げると力一杯抱き締めた。




「陽の事、絶対忘れない。大好きだったよ」



本当に、大好きだった。




「ありがとう」




そう耳元で囁いて、そっと身体を離す。


顔を見たら離れたくなくなるから、顔を伏せたまま踵を返した。




バイバイ、陽。


バイバイ、みんな。





「凛音!!り──」



「凛音と出逢ったのがお前等じゃなかったら良かったのに。お前等じゃなかったら俺は──」



陽の言葉を遮って聞こえた、貴兄の意味深な言葉。


その言葉にどれほどの想いが込められていたのかなんて、今のあたしには分からなかった。