Ri.Night Ⅲ


十夜……。


最後にあたしを映してくれた。


もう、それだけで十分だよ。




「皆の事、大好きだった。鳳皇が……大好きだった」



本当に、大好きだった。



“あの時”言えなかった言葉、今なら言えるよ。






「……バイバイ」





皆の瞳を真っ直ぐ見ながら、“あの時”どうしても言えなかった別れの言葉を告げた。



たった四文字の言葉がこんなにも重くて苦しいものだとは思わなかった。


心の奥がギュッと締め付けられて息が出来ない。



苦しくて苦しくて苦しくて。


涙で皆の顔が見えないよ。






「……っぅ、」



もう、これ以上此処には居られない。


そう思ったあたしは、皆から視線を逸らし、くるりと踵を返した。


スゥと息を吸い込み、貴兄と優音の元へとゆっくり歩き出す。



……バイバイ、みんな。








「貴兄、優音」


さっきと変わらず哀しい表情を浮かべている二人を少しだけ頬を緩めて見上げた。



「何も言わなくていい」


「……ありがとう」



優しすぎる二人に涙が零れ落ちそうになって、唇を噛み締めて我慢する。



「行こう」


涙をグッと堪えてそう言うと、二人と一緒に歩き出した。



「凛音、ちょっと待て」



けど、数歩進んだ所で優音に腕を引かれ、振り返ると、



「そこに居るんだろ?出てこいよ」



優音は雑木林の方を見ながらそう言い放った。