……煌、あたし、本当に鳳皇を愛してたよ。
心から愛してた。
でももうこれからは愛す事が出来ないから、あたしの分まで鳳皇を愛して……。
その言葉を心の中で呟いた時、無理矢理ではなく自然に笑みが零れた。
それは、“愛してた”という言葉がキッカケで今まで皆と過ごした日々を思い出したから。
楽しかった日々が走馬灯の様に駆け抜けていく。
その中には、当然この人もいた。
「……十夜」
誰よりも大好きな人。
十夜………あたし、十夜に沢山言いたい事があるの。
けど、十夜の顔を見たら何を言えばいいのか分からなくなっちゃったよ。
ごめんなさいもありがとうも大好きも。
何もかもごちゃ混ぜになって、何を言っていいのか分からない。
伝えたい言葉は山程あるのに、それが上手く言葉に出来ないよ。
「十夜……」
迎えに来てくれて、嬉しかった。
もう一度逢えて嬉しかった。
十夜、今度こそお別れだよ。
「十夜。十夜と出逢えて良かった。
喧嘩もしたけど、それでもいつも優しくしてくれた。
今まで、ありがとう。守ってくれて、ありがとう……っ」
大好きだった。
一番、一番好きだった。
世界で一番大好きだった。
あたしに“恋”を教えてくれた人。
あたしに“愛”を教えてくれた人。
初めて、心の底から“愛しい”と思った人。
ありがとう。
あたしと出逢ってくれてありがとう。
優しくしてくれてありがとう。
……もう、“ありがとう”しか言えない。
それしか言葉が出てこない。
「凛音」
「…………っ」
曇っていた漆黒の瞳に、少しだけ灯りが灯って。
今まで輝きを失っていた瞳にあたしの姿がハッキリと映った。


