Ri.Night Ⅲ



ここまで何とか我慢していた涙が限界を迎えていた。


スッと顔を伏せ、右手の甲で涙を拭う。


皆の前で涙を零流す訳にはいかない。


声に出して泣きたいぐらいツラいけど、今は泣かない。


泣きたくない。



最後に映るあたしの姿が泣き顔なんて嫌だから。







「──彼方」



再び顔を上げて彼方に視線を向ける。


目が合った彼方は今までで一番哀しい顔をしていた。


眼鏡の奥で焦げ茶色の瞳がゆらりと揺れる。



「……彼方。彼方はお馬鹿で変態だったけど、いつも優しくしてくれた。勉強、教えてくれてありがとう」


「……っ、りっちゃん……」



哀しみを帯びていく彼方の表情を見ていられなくて、背けるように壱さんへと視線を移す。



「……壱さん。今まで送り迎えしてくれてありがとう。あたし、壱さんの優しい笑顔が大好きだった。約束、守れなくてごめんなさい」


「凛音ちゃん……」



……壱さん、ごめんね。十夜の彼女なれなかったよ……。


応援してくれたのに、ごめんなさい。