全てを伝える事は出来ないけど、“ありがとう”という言葉だけは伝えたい。
悔いは残らないように。
そう心に決め、あたしはキツく閉ざしていた口を開けた。
あたしを身動きすらせずジッと見つめている五人に、躊躇いながらも言葉を発しようとした、その時。
「なんで今、真実を告げようと思ったんだよ」
あたしよりも先に、煌の細々とした重低音の声がその場にぽつりと響いた。
言葉を発する前とは違い、複雑な表情を浮かべている煌。
その何とも言えない表情に開けた口を再び閉ざした。
視界に映るのは皆の姿。
あたしを真っ直ぐ見つめる双眸が、何故?と問い掛けている気がした。
“なんで今、真実を告げようと思ったんだよ”
──あたしだって最初、告げるつもりなんてなかった。
だけど、皆と再会して、喧嘩している姿を見て、真実を言わなきゃいけないと思った。
それを伝えなきゃいけないのだろうか。
あたしを迎えに来てくれた皆に、喧嘩して欲しくないからって言うの?
こんな所まで来てくれた皆に?
理由を言うという事はそういう事。
喧嘩しないでと強制する。
そんな事を言われたら出来る訳がないのに。
これを自分勝手と言わず何と言うんだろう。
「今言ったのは……」
「俺が反対してるからだ」
「……っ」
貴、兄……?
被さった貴兄の言葉に顔を上げると、貴兄はあたしの肩に手を置いた。
右肩に感じる貴兄の温もりがあたしの身体にじんわりと染み込んでいく。


