Ri.Night Ⅲ



「そんなあたしに、天罰が下ったの」


「天……罰……?」


「ううん、違う。自分の手で幕を下ろしたの」




そう、この手で。


自分の手で着信ボタンを押した。貴兄に助けを求めた。



この、手で。



自分の右手を虚ろな瞳で見つめ、グッと握り締める。




「貴兄が来てくれたあの時、あたしは二人の顔を見て後悔した。

もう二人を哀しませちゃいけないって思った。だから着いて行ったの」


「………」


「……本当は、あの時みんなに貴兄の事を言わなければいけなかった。

あたしは貴兄の妹なんだって。獅鷹総長の妹なんだって。

それを言ってから去らなきゃいけなかった。

隠しててごめんなさいって謝らなければいけなかった」


「凛音ちゃん……」


「……けど、言えなかった。 皆に嫌われるのが怖くて言えなかった。

自分の気持ちを優先して言わなかった……!」


「………」


「……ごめんなさい。今まで黙ってて、ごめんなさい……」



あたしの言葉は誰にも返事される事なく、ただ空中を寂しくさ迷い、そして静かに闇夜へと消えていく。



交えているようで交えていない視線。


それは何を意味しているのか、嫌でも理解出来た。




当たり前だ。


こんな事を急に言われても簡単に許せる訳がない。

そんな簡単な事じゃない。



許して貰えないという事は告げる前から覚悟していた。


真実を告げて嫌われる事も。皆が遠ざかっていく事も。


それぐらい獅鷹と鳳皇の間の溝は深くて、簡単に埋まるものではなかったから。


ううん、今回の事であたしはその溝を更に深めてしまったんだ。




皆に受け入れては貰えない。



沈黙が、

皆を覆う張り詰めた空気が、

強張った表情が、


そう物語っていた。