「そんなあたしに、天罰が下ったの」
「天……罰……?」
「ううん、違う。自分の手で幕を下ろしたの」
そう、この手で。
自分の手で着信ボタンを押した。貴兄に助けを求めた。
この、手で。
自分の右手を虚ろな瞳で見つめ、グッと握り締める。
「貴兄が来てくれたあの時、あたしは二人の顔を見て後悔した。
もう二人を哀しませちゃいけないって思った。だから着いて行ったの」
「………」
「……本当は、あの時みんなに貴兄の事を言わなければいけなかった。
あたしは貴兄の妹なんだって。獅鷹総長の妹なんだって。
それを言ってから去らなきゃいけなかった。
隠しててごめんなさいって謝らなければいけなかった」
「凛音ちゃん……」
「……けど、言えなかった。 皆に嫌われるのが怖くて言えなかった。
自分の気持ちを優先して言わなかった……!」
「………」
「……ごめんなさい。今まで黙ってて、ごめんなさい……」
あたしの言葉は誰にも返事される事なく、ただ空中を寂しくさ迷い、そして静かに闇夜へと消えていく。
交えているようで交えていない視線。
それは何を意味しているのか、嫌でも理解出来た。
当たり前だ。
こんな事を急に言われても簡単に許せる訳がない。
そんな簡単な事じゃない。
許して貰えないという事は告げる前から覚悟していた。
真実を告げて嫌われる事も。皆が遠ざかっていく事も。
それぐらい獅鷹と鳳皇の間の溝は深くて、簡単に埋まるものではなかったから。
ううん、今回の事であたしはその溝を更に深めてしまったんだ。
皆に受け入れては貰えない。
沈黙が、
皆を覆う張り詰めた空気が、
強張った表情が、
そう物語っていた。


