「っ、大丈夫……」
手から伝わる優音の優しさを受け取って、込み上げる感情を涙と一緒に心の奥底へと押し込む。
「……離れると決心したあたしは皆に別れを告げようとした。けど、タイミング悪く電話が来て、壱さんと彼方、そして陽が火皇へと行ってしまった。
でもどうしても言わなきゃいけないと思って、その後、一人になった煌に『鳳皇を抜けたい』って言ったの。
そして、送って貰ったその先で十夜にも同じ事を言った」
「そんな……」
「……十夜、“あの時”嘘ついてごめんね。 勉強の時一緒にいたバイクの人は友達じゃない。貴兄だったの。
嘘ついて、ごめんなさい……。逃げ出したりして、ごめんなさい」
溢れそうになる涙を必死に堪え、涙でボヤけている十夜に心の底から謝る。
「……ちょっと待て、意味分かんねぇ。“あの日”って凛音が黒烏に襲われた日だよな?あの時は深く考えてなかったけど、十夜と一緒に居たのに何で襲われたんだよ!」
陽が疑問に思うのも無理はない。
“あの時”の事は、あたしと十夜、そして煌しか知らないのだから。
「それは……」
“あの日”の事を思い出そうと、そっと目を閉じる。
そうすると、“あの日”の出来事が少しずつ脳裏に甦ってきた。
「──“あの日”、あたしは十夜に『繁華街へ連れて行って』って言ったの。そこで十夜に『鳳皇を抜ける』って言った。
けど、それを聞き入れて貰えなかったあたしは、『勝手に抜けるから』って言って、その場から逃げ出した。
……その後、繁華街で黒烏に声を掛けられて連れて行かれそうになって、それを十夜と煌、そして雷さんが助けてくれた。
陽達が来てくれた【Tear Drop】に行ったのは、その後」


